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リハビリテーション専門職には是非知っていただきたい子どもの発達過程について~①運動(座位・立位)~

こんにちは!  今日も前回の続きということで、子どもの発達過程について、座位・立位に着目してお話をしたいと思います。前回の内容は、 リハビリテーション専門職には是非知っていただきたい子どもの発達過程について~①運動(背臥位)~ 、 リハビリテーション専門職には是非知っていただきたい子どもの発達過程について~①運動(腹臥位)~ を読んでいただければと思います。腹臥位の発達では、背臥位と比べて私たちが見ている世界を見ることができるようになります。発達の中で、左右への重心移動ができるようになり、手を伸ばして物を掴むことが可能になります。そして、手が届かない物に対しても、触って確認しようとするのです。これが「移動」の始まりになります。このように、腹臥位の発達は、四つ這い、立位、そして歩行へとつながっていくのです。前回のお話を簡単に要約し、臨床での意義についてお話させていただきました。それでは、これからは運動の発達過程についての最後のテーマである「座位・立位」の視点からお話しようと思います。本日もよろしくお願い致します。 <運動の発達過程ー座位・立位ー> 生後間もない間は、初期起立反応により支えられながらの立位保持が可能になる。そして、徐々に初期起立反応が消失し、起立不能の段階が開始される。 ~1か月 座位:伸筋群の発達が不十分であるため、体幹が屈曲し顔が床に接触する 3か月~ 座位:定頸獲得時期 立位:ハイガード姿勢(支えられて) ⇒この時の立位保持では、抗重力姿勢の保持が乏しく反張膝になりやすい。 4か月~ 座位:リング座位獲得(不安定さあるため介助必要) 立位:徐々にローガードへ(支えられて) ⇒定頸に従い立位姿勢がハイガードからローガードへ移行する。 6か月~ 座位:リング座位の完成(上肢の支持あり) ⇒立ち直り反応の出現により、リング座位で側方への重心移動が可能になる。 ⇒リング座位にて、頸部ー体幹を正中位で保持することが可能になる。 立位:両手支持での立位保持が可能 7か月~ 座位:リング座位で前方へリーチが可能、物につかまっての両膝立ち獲得 ⇒座位姿勢において、頸部・体幹を回旋することが可能になるため、前方へリーチすることが可能になる。 立位:支えられながらの鶏状歩行が可能 8か月~ 座位:上肢の支持なしでの座位獲得、長座位保持獲得 立位:物につかまって片膝立ち...

リハビリテーション専門職には是非知っていただきたい子どもの発達過程について~①運動(腹臥位)~

こんにちは!  今日は前回の続きということで、子どもの発達過程について、腹臥位に着目してお話をしたいと思います。前回の内容は、 リハビリテーション専門職には是非知っていただきたい子どもの発達過程について~①運動(背臥位)~ を読んでいただければと思います。背臥位の発達では、手指や口を感覚器官として活用しながら、自分自身の身体の位置関係、いわゆる身体図式を覚えていきます。そして、背臥位姿勢にて手で足をつかんだり、触ったりする中で骨盤を床から持ち上げる動きや骨盤の傾斜・回線を行っていきます。背臥位で獲得するこの動きは、お座り以降の動きや活動に活用されていきます。これらのことが、背臥位の発達過程を理解する中でより重要な意義となってくると考えています。前回のお話を簡単に要約し、臨床での意義についてお話させていただきました。それでは、これからは運動の発達過程について、腹臥位の視点からお話しようと思います。本日もよろしくお願い致します。 <運動の発達過程ー腹臥位ー> 生後間もない間は、腹臥位を保持する時に重心が頭部寄りになっており、脊柱全体を丸くした姿勢になっている。 ⇒全体重の中で頭部が占める割合が大きく、頭部挙上位を保持し続けることが難しいため、こういった姿勢を保持している。 ~1か月:左右非対称性な姿勢を保持する(屈曲優位) ⇒頭部挙上位での保持が難しく、上肢の運動を行うことができない。 2か月~:顎部を挙上する程度の頭部挙上がみられる、下肢の屈曲位が減少する 3か月~:対称的な腹臥位を保持する、on elbowでの頭部挙上が可能になる ⇒四肢が屈曲位だけでなく、伸展位を保持することが可能になるため、重心が「頭部」から「胸腹部」へ移行する。 ⇒体幹を伸展位で保持することが可能になり、on elbowで姿勢を保持することができるようになる。これがパピーポジションの始まり。 ★頭部を挙上するにあたり、背臥位では5か月であるのに対し、腹臥位では3か月で可能になる。 4か月~:頭部を正中線上で90°挙上が可能になる、パピーポジションの完成 5か月~:左右非対称な姿勢が増えていく、on handsでの腹臥位保持が可能になる この頃になると正中線上の体幹の伸展が大きくなり、on handsでの腹臥位保持が可能になる。背臥位の中で手と手を合わせたり身体中を触ったりしていた動きが腹臥位で...

リハビリテーション専門職には是非知っていただきたい子どもの発達過程について~①運動(背臥位)~

こんにちは!  今日は発達作業療法士として必要な子どもの発達過程についてのお話をしたいと思います。①運動②言語③巧緻機能④認知⑤口腔機能それぞれに分けてお話したいと思っていますのでかなりの長編になるかと思います。この発達過程に関して、正常発達という言葉もございますが、何をもって正常なのか?人それぞれ育ち方も生き方も違うのではないか?という考えがありますので、ここでは発達過程という言葉でお話したいと思います。ここでお話する内容は、なぜそのような発達過程をたどるのかを脳のメカニズムやその過程を辿る要因を基に展開したいと思っています。ですので、必ずしもその過程が正しいというわけではないということを頭の片隅に入れていただければと思っています。また、成人を対象に作業療法を実施している方にとっても、発達過程は共通する面や治療のヒントになる面もあるため、是非一読していただければと思います。それではよろしくお願い致します。 <運動の発達過程ー背臥位ー> 出典: 体幹機能の発達 生後間もない間は、背臥位を保持する時に頭部を正中位で保持することは難しい。そのため、結果的に頭部は右か左側を向いていることが多い。頭部が向いている側の上肢は伸展しやすく、反対側の上肢は屈曲する傾向にある。 ⇒一般的にはATNR(非対称性緊張性頚反射)と呼びますが、反射というわけではなくそういった現象が起きやすいといった方が正しいと思います。 ~1か月:左右非対称性な姿勢を保持する(屈曲優位) ⇒胎内で生活を育むことで屈筋優位の姿勢になりやすい。低出生体重児であれば、体内での学習期間が短いため伸展優位の姿勢になりやすい。 2か月~:上下肢の屈筋優位が軽減する、対称的な活動が増えていく 3か月~:頸部が正中位へ定位するようになり対称的な背臥位を保持する、Hand to hand 赤ちゃんは頭部を正中位で保持することが可能になり、両手を握り合わせたり口に持っていくことが可能になる。 ⇒身体の中心に上肢や手指を持ってくることで、身体の端と中心軸を理解し始め、対称的な背臥位保持を保持することができるようになる。 4か月~:四肢の対照的な運動が増えていく、Hand to nee 両手を握り合わせたり口に持っていくことが可能になる時期では、肘関節は屈曲していたが、徐々に伸展することが可能になり、両下肢の挙上が可能になること...

失語症を理解するために②~失語症タイプの分類~

こんにちは。  今日は前回の続きということで、失語症を理解するために②~失語症タイプの分類~についてお話させていただきたいと思います。前回の内容は を読まれてみてください。前回は、言語の処理過程と処理過程に関連する領域や症状の分類についてお話させていただきました。そこで、今回は失語症タイプの分類を、症状と関連させてお話していきます。 <失語症タイプの分類> 出典: 失語のみかた:よりよい治療・リハビリテーションのために 語のシステム:失構音、音韻性錯語、語音弁別障害 音のシステム:単語理解障害、喚語障害 出典: 失語のみかた:よりよい治療・リハビリテーションのために 【伝導失語】 症状:音韻性錯語(失構音のない) 容認項目:語音弁別障害 【ウェルニッケ失語】 症状:単語理解障害、喚語障害、音韻性錯語 容認項目:語音弁別障害 出典: 失語のみかた:よりよい治療・リハビリテーションのために 【ブローカ失語】アナルトリー、喚語障害、失構音 【純粋語唖】 出典: 失語のみかた:よりよい治療・リハビリテーションのために 【超皮質性運動失語】 領域:補足運動野、左下~中前頭回(前頭葉背外側領域) 症状:喚語障害 容認項目:失構音、音韻性錯語、単語理解障害、語音弁別障害 ★超皮質性運動失語には大まかに2つのタイプがあり、①ブローカ失語からの部分回復タイプ②構音開始時の困難さを示すタイプに分けられる。 復唱が良好で、自発話が減少(超皮質性感覚失語では見られない場合が多い)する場合、超皮質性運動失語と呼ばれることが多い。 【超皮質性感覚失語】 症状:単語理解障害、喚語障害 容認項目:語音弁別障害 【健忘失語】 領域:下前頭回、側頭~後頭葉、角回 症状:喚語障害 【ブローカ領域失語】 領域:ブローカ野(ブローカ野=文理解) 症状:喚語困難+文理解障害 ということで、今回は失語症の分類についてお話させていただきました。明確な基準がない場合が多いため、病巣を基にどのような症状が出現するのかを推測することがより重要で、無理やりタイプに当てはめようとするとうまくいかない場合があります。失語症のタイプはあくまで参考までにしていただき、どのような症状が出現しているのかを意識して、臨床での評価・治療に取り組んでいただければと思います。 では今日はこの辺で。

失語症を理解するために①~言語処理過程と症状の分類~

こんにちは。  連日、水害のニュースが相次ぎ心を痛める思いで日々過ごしています。皆様もどうかご無事でありますよう心から願っています。少しでも穏やかに過ごせる日が来ますよう祈っています。  今日は「失語症を理解するために」というテーマでお話しようと考えています。「失語といえばSTだ!」と思われる方もいるかもしれませんが、作業療法士としても失語を理解することはとても重要だと思っています。作業療法士の養成校では、ブローカ失語とウェルニッケ失語とは何か?程度にしか学ぶことが少ないかと思われますが、実際はより複雑で理解することが難しいものだと考えています。私も臨床で「どのような分類があり、アプローチが効果的なのか?」を知りたく、北海道大学の大槻先生の講義にて失語について学んだ過去があります。失語を理解し、作業療法の中にも、治療要素を組み込むことができると思いますので、まずは失語の分類や画像の見方についてのお話をしていきたいと考えています。 <言語処理の過程> 出典: 失語のみかた:よりよい治療・リハビリテーションのために  この図は、言語の処理過程とその障害により生じる症候、および、その言語の処理過程に関与する脳部位を示したものです。 情報の出入り口(モダリティとして音を用いる)⇒聴覚処理・構音実現 言語情報の出入り口(モダリティとして音を用いる)⇒音声処理・構音制御 音韻の処理(モダリティフリー)⇒音韻処理 語の処理(モダリティフリー)⇒語彙処理・意味処理  音韻の処理と語の処理(語彙処理・意味処理)は、モダリティがフリーであるため聴覚入力だけでなく視覚入力でも同じような処理過程を辿ります。 <失語症症状の分類> 【失構音(発語失行、アナルトリー)】 症状:構音の歪み・音の連結不良・抑揚異常を認める。   構音の誤り方に二重の非一貫性がある。   ①ある音素を構音しようとするとある時は誤り、ある時は正しく構音する   ⇒whenの非一貫性   ②誤る場合にその誤り方が一定ではなく、色々な誤り方をする   ⇒howの非一貫性 領域:左中心前回中~下部(下端以外)   ブロードマン4野中心の病巣:構音の歪み中心   ブロードマン4野+6野の病巣:構音の歪み+音の連結不良 ★失構音と構音障害の違い 失構音:音実現のプログラム・指令の問題 構音障害:音実現の実行器官の問題 【音韻性...

マイノリティとマジョリティーリハビリテーションの専門職の立場からー

こんにちは。  今日はリハビリテーションの知識や技術についてのお話ではないのですが、リハビリテーションマインドとして、僕自身がいつも考えていることについてお話したいと思っています。テーマでもあるように、今日は「マイノリティ」と「マジョリティ」についての考え方から少しお話しようと思います。 【マジョリティとマイノリティ】  まずマジョリティという言葉についてですが、一般的には「社会的少数者」という意味になるかと思います。例えば、日本に住んでいる外国籍の方であったり、左利きの方であったりと、その概念は多種多様に構成されているといえます。反対にマイノリティは「社会的多数者」と呼ばれ、社会はマイノリティ側に傾いた構成になっていると考えられます。今はユニバーサルデザインやバリアフリーといった考え方が主流になり、誰でも安心して生活できるような社会になってきていますが、以前はよりマイノリティに沿った社会構成であったと感じています。 【作業療法士にとってのマジョリティ】  ではこの概念からどのようにリハビリテーションに結びつけるのか?疑問に思う方もいるかもしれません。では作業療法士という仕事の特性から考えてみましょう。作業療法士における臨床推論(クリニカルリーズニング)の根っこの部分にあるのは、”ナラティブ”、いわゆるその方のライフストーリーにあるといえます。この”ナラティブ”というものは、文化やその人の考え方そのものが含まれています。これらを尊重し、今後の生活に結びつけていく仕事こそが作業療法の根幹だと考えています。  たとえ同じ疾患だったとしても、その人それぞれに個性があるのです。例えば掘りごたつでの生活を送ってきた方にとっての当たり前は、テーブルでの生活ではなく掘りごたつでの生活になります。こういった、対象者の”ナラティブ”を大切にし、どのような生活を送りたいのかを考え、支援していける作業療法士でありたいと常日頃から思っています。 【リハビリテーション専門職自身にとってのマジョリティ】  次はリハビリテーション専門職自身にとってのマジョリティとは何か?について話していきたいと思います。理学療法士・作業療法士の養成校が増大している昨今、診療において一定の治療結果を担保することができているのか?専門職としての水準を保つことができているのか?多くの議論が巻き起こっていると感じていま...