こんにちは!
今日は股関節の包内運動と評価を行う際の診るポイントについてお話ししようと思います。
高齢者に多い骨折としては、大腿骨近位部骨折、圧迫骨折、橈骨遠位端骨折が挙げられますね。僕の病院では、特に大腿骨近位部骨折(転子部、頸部)により入院される方が多いです。そのため、作業療法士の養成校ではあまり勉強することがなかった股関節の機能解剖や運動学の勉強をする必要があると考えています。僕も、一緒に担当する理学療法士に負けないようにしっかりと勉強しているつもりです笑。
そこで、今日は股関節運動の中でも特に包内運動に着目をしてお話ししようと思います。
まず、股関節の機能分類についてですが多軸関節の一つである球関節となっています。股関節以外の球関節は、肩関節と腕橈関節が挙げられますね。上肢でいう肩関節、下肢でいう股関節は運動や機能面において共通する機能が多いといわれています。
そして、股関節を考える際には、必ず骨盤や胸腰椎のアライメントを確認する必要があります。例えば、変形性股関節症により股関節が屈曲拘縮したことから、骨盤前傾位、腰椎前弯位で代償を行う、円背により骨盤後傾位、膝関節屈曲位で代償を行う、などのようになぜ今のようなアライメントになっているのか、疼痛の要因はどこからきているのかを考えながらアプローチを考えることが大切になります。
そして、次からが今日の本題である股関節包内運動についてのお話しです。まずは、各運動と主な阻害因子をお話ししようと思います。
○股関節包内運動について
屈曲運動:後方への滑りの障害により制限される。
主な阻害因子:大殿筋、ハムストリングスといった伸展筋の拘縮や短縮。
伸展運動:前方への滑りの障害により制限される。
主な阻害因子:腸腰筋や大腿直筋といった屈曲筋の拘縮や短縮。
腸骨大腿靭帯、恥骨大腿靭帯、坐骨大腿靭帯の過緊張。
外転運動:下方への滑りの障害により制限される。
主な阻害因子:大内転筋や長内転筋などの内転筋群の拘縮や短縮。
腸骨大腿靭帯、恥骨大腿靭帯、坐骨大腿靭帯の過緊張。
内転運動:上方への滑りの障害により制限される。
主な阻害因子:中殿筋や大腿筋膜張筋などの外転筋群の拘縮や短縮。
腸骨大腿靭帯、大腿骨頭靭帯の過緊張。
外旋運動:後方への滑りの障害により制限される。
主な制限因子:小殿筋といった内旋筋の拘縮や短縮。
腸骨大腿靭帯、恥骨大腿靭帯の過緊張。
内旋運動:前方への滑りの障害により制限される。
主な制限因子:深層外旋六筋といった外旋筋の拘縮や短縮。
坐骨大腿靭帯の過緊張。
※大腿骨頭の前傾が大きい場合は外旋が制限され、小さい場合は内旋が制限される。
これら各運動と主な制限因子についてをしっかりと頭に入れておく必要があります。そして、どの運動が制限されているのか、その制限は筋の影響なのか、靭帯の影響なのか、関節包そのものの破綻なのかを考えていきます。制限因子の判断方法については、関節可動域の基本の「き」➀でお話ししているので参考にしてみてくださいね。また、このときに忘れてはいけないことが、股関節以外の骨盤、脊柱、膝関節などのアライメントや筋緊張の状態についても必ず評価をすることです。なぜなら、股関節周囲のアライメント調整ができても、その他のアライメント異常などがきっかけで股関節の運動に制限をきたしている場合では、根本の治療ができていないので、すぐに元のアライメント状態に戻ってしまうからです。このことは忘れないようにしましょう。
どんな治療を行う際でも要因は1つではありません。いろんな要因が互いに関わり合っているため、必ず要因は1つと決めつけずに、様々な要因を複合的に捉えながら診療を行うことが大切になります。最近よく耳にするクリニカルリーズニング(臨床推論)を行っていくことが大切になるということですね。ただ、自分ではどうしてもわからない!ということもたくさんあると思いますので、担当している理学療法士との情報交換やその分野を得意としているセラピストに相談しながら、解決につなげていくことが大切だと考えています。自分で解決してしまおうと思うのではなく、積極的に得意な方に相談するのも一つのスキルだと考えています。
今日は股関節の包内運動を中心にお話しさせていただきました。身体機能面は理学療法士の専門だからと断定するのではなく、担当する疾患の基礎知識は作業療法士でも必要なことだと思っています。最後になりますが、今日のお話は股関節の内容としても、入り口の部分だと考えています。そして、少しずつではありますが、踏み込んだ内容のお話もしていきたいと思っていますので、今後ともよろしくお願いします。
では今日はこの辺で。
今日は股関節の包内運動と評価を行う際の診るポイントについてお話ししようと思います。
高齢者に多い骨折としては、大腿骨近位部骨折、圧迫骨折、橈骨遠位端骨折が挙げられますね。僕の病院では、特に大腿骨近位部骨折(転子部、頸部)により入院される方が多いです。そのため、作業療法士の養成校ではあまり勉強することがなかった股関節の機能解剖や運動学の勉強をする必要があると考えています。僕も、一緒に担当する理学療法士に負けないようにしっかりと勉強しているつもりです笑。
そこで、今日は股関節運動の中でも特に包内運動に着目をしてお話ししようと思います。
まず、股関節の機能分類についてですが多軸関節の一つである球関節となっています。股関節以外の球関節は、肩関節と腕橈関節が挙げられますね。上肢でいう肩関節、下肢でいう股関節は運動や機能面において共通する機能が多いといわれています。
そして、股関節を考える際には、必ず骨盤や胸腰椎のアライメントを確認する必要があります。例えば、変形性股関節症により股関節が屈曲拘縮したことから、骨盤前傾位、腰椎前弯位で代償を行う、円背により骨盤後傾位、膝関節屈曲位で代償を行う、などのようになぜ今のようなアライメントになっているのか、疼痛の要因はどこからきているのかを考えながらアプローチを考えることが大切になります。
そして、次からが今日の本題である股関節包内運動についてのお話しです。まずは、各運動と主な阻害因子をお話ししようと思います。
○股関節包内運動について
股関節の痛みと機能障害 |
屈曲運動:後方への滑りの障害により制限される。
主な阻害因子:大殿筋、ハムストリングスといった伸展筋の拘縮や短縮。
伸展運動:前方への滑りの障害により制限される。
主な阻害因子:腸腰筋や大腿直筋といった屈曲筋の拘縮や短縮。
腸骨大腿靭帯、恥骨大腿靭帯、坐骨大腿靭帯の過緊張。
外転運動:下方への滑りの障害により制限される。
主な阻害因子:大内転筋や長内転筋などの内転筋群の拘縮や短縮。
腸骨大腿靭帯、恥骨大腿靭帯、坐骨大腿靭帯の過緊張。
内転運動:上方への滑りの障害により制限される。
主な阻害因子:中殿筋や大腿筋膜張筋などの外転筋群の拘縮や短縮。
腸骨大腿靭帯、大腿骨頭靭帯の過緊張。
外旋運動:後方への滑りの障害により制限される。
主な制限因子:小殿筋といった内旋筋の拘縮や短縮。
腸骨大腿靭帯、恥骨大腿靭帯の過緊張。
内旋運動:前方への滑りの障害により制限される。
主な制限因子:深層外旋六筋といった外旋筋の拘縮や短縮。
坐骨大腿靭帯の過緊張。
※大腿骨頭の前傾が大きい場合は外旋が制限され、小さい場合は内旋が制限される。
これら各運動と主な制限因子についてをしっかりと頭に入れておく必要があります。そして、どの運動が制限されているのか、その制限は筋の影響なのか、靭帯の影響なのか、関節包そのものの破綻なのかを考えていきます。制限因子の判断方法については、関節可動域の基本の「き」➀でお話ししているので参考にしてみてくださいね。また、このときに忘れてはいけないことが、股関節以外の骨盤、脊柱、膝関節などのアライメントや筋緊張の状態についても必ず評価をすることです。なぜなら、股関節周囲のアライメント調整ができても、その他のアライメント異常などがきっかけで股関節の運動に制限をきたしている場合では、根本の治療ができていないので、すぐに元のアライメント状態に戻ってしまうからです。このことは忘れないようにしましょう。
どんな治療を行う際でも要因は1つではありません。いろんな要因が互いに関わり合っているため、必ず要因は1つと決めつけずに、様々な要因を複合的に捉えながら診療を行うことが大切になります。最近よく耳にするクリニカルリーズニング(臨床推論)を行っていくことが大切になるということですね。ただ、自分ではどうしてもわからない!ということもたくさんあると思いますので、担当している理学療法士との情報交換やその分野を得意としているセラピストに相談しながら、解決につなげていくことが大切だと考えています。自分で解決してしまおうと思うのではなく、積極的に得意な方に相談するのも一つのスキルだと考えています。
今日は股関節の包内運動を中心にお話しさせていただきました。身体機能面は理学療法士の専門だからと断定するのではなく、担当する疾患の基礎知識は作業療法士でも必要なことだと思っています。最後になりますが、今日のお話は股関節の内容としても、入り口の部分だと考えています。そして、少しずつではありますが、踏み込んだ内容のお話もしていきたいと思っていますので、今後ともよろしくお願いします。
では今日はこの辺で。
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