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6月, 2020の投稿を表示しています

マイノリティとマジョリティーリハビリテーションの専門職の立場からー

こんにちは。  今日はリハビリテーションの知識や技術についてのお話ではないのですが、リハビリテーションマインドとして、僕自身がいつも考えていることについてお話したいと思っています。テーマでもあるように、今日は「マイノリティ」と「マジョリティ」についての考え方から少しお話しようと思います。 【マジョリティとマイノリティ】  まずマジョリティという言葉についてですが、一般的には「社会的少数者」という意味になるかと思います。例えば、日本に住んでいる外国籍の方であったり、左利きの方であったりと、その概念は多種多様に構成されているといえます。反対にマイノリティは「社会的多数者」と呼ばれ、社会はマイノリティ側に傾いた構成になっていると考えられます。今はユニバーサルデザインやバリアフリーといった考え方が主流になり、誰でも安心して生活できるような社会になってきていますが、以前はよりマイノリティに沿った社会構成であったと感じています。 【作業療法士にとってのマジョリティ】  ではこの概念からどのようにリハビリテーションに結びつけるのか?疑問に思う方もいるかもしれません。では作業療法士という仕事の特性から考えてみましょう。作業療法士における臨床推論(クリニカルリーズニング)の根っこの部分にあるのは、”ナラティブ”、いわゆるその方のライフストーリーにあるといえます。この”ナラティブ”というものは、文化やその人の考え方そのものが含まれています。これらを尊重し、今後の生活に結びつけていく仕事こそが作業療法の根幹だと考えています。  たとえ同じ疾患だったとしても、その人それぞれに個性があるのです。例えば掘りごたつでの生活を送ってきた方にとっての当たり前は、テーブルでの生活ではなく掘りごたつでの生活になります。こういった、対象者の”ナラティブ”を大切にし、どのような生活を送りたいのかを考え、支援していける作業療法士でありたいと常日頃から思っています。 【リハビリテーション専門職自身にとってのマジョリティ】  次はリハビリテーション専門職自身にとってのマジョリティとは何か?について話していきたいと思います。理学療法士・作業療法士の養成校が増大している昨今、診療において一定の治療結果を担保することができているのか?専門職としての水準を保つことができているのか?多くの議論が巻き起こっていると感じていま...

末梢神経障害を正しく評価するために+α~下肢編~

こんにちは!  今日は「末梢神経障害を正しく評価するために」シリーズのおまけ回として、下肢編についてお話していきたいと思っています。このシリーズを書き始めた時は、上肢編のみでいったん終わりにしようと思っていたのですが、臨床でも下肢の末梢神経障害を多くお見掛けしますし、誰もが避けては通れないと思うようになったので、まとめてお話しようと思いました。前回までの内容に関しましては、 末梢神経障害を正しく評価するために①~末梢神経障害の基礎知識~ 、 末梢神経障害を正しく評価するために②~末梢神経障害に共通する評価~ 、 末梢神経障害を正しく評価するために③~正中神経麻痺~ 、 末梢神経障害を正しく評価するために④~尺骨神経麻痺~ 、 末梢神経障害を正しく評価するために⑤~橈骨神経麻痺~ を見ていただけたらと思います。本日もどうぞよろしくお願い致します。 <下肢神経の解剖> 坐骨N(梨状筋症候群etc)⇒総腓骨N⇒浅腓骨N                  ⇒深腓骨N             ⇒脛骨N 大腿N⇒大腿N     ⇒伏在N(Hunter菅症候群etc) <代表的な疾患> ①梨状筋症候群 坐骨神経が生理的狭窄部位である梨状筋部で圧迫を受け発症する。梨状筋周囲を圧迫し、圧痛と放散痛の有無、下肢の内旋で症状が増悪するかを評価する。 症状:知覚異常、坐骨神経が支配する筋の麻痺、臀部周囲のしびれ感・疼痛 ②Hunter菅症候群 伏在神経が内側広筋と大内転筋を結合する繊維束で形成されるHunter菅の通貨部で圧迫され発症する。 症状:膝関節内側部痛・知覚異常 <スクリーニングによる鑑別方法>  実際に臨床で下肢の末梢神経障害の疑いがある方の評価をする時に、私がまず行っているスクリーニングの評価を紹介します。 ・筋力(麻痺の有無)  足関節背屈/外返し⇒腓骨神経麻痺の鑑別  足関節底屈/内返し⇒脛骨神経麻痺の鑑別 ※厳密に言うとそれぞれの筋の機能によって働きが違うため、スクリーニングで評価を行った後に、それぞれの筋の機能の評価を行います。 ・感覚(知覚障害の有無)  下腿~足部前面⇒腓骨神経による知覚障害の鑑別  下腿~足部後面⇒脛骨神経による知覚障害の鑑別 ・TinelSign  これらのスクリーニングによるテストは、10分以内で評価可能であるため、問診を行った後に、これらの...

末梢神経障害を正しく評価するために⑤~橈骨神経麻痺~

こんにちは!  今日は末梢神経障害の中でも橈骨神経麻痺についてのお話をしたいと思います。今回でいよいよ第5回目になります。前回までの内容に関しましては、 末梢神経障害を正しく評価するために①~末梢神経障害の基礎知識~ 、 末梢神経障害を正しく評価するために②~末梢神経障害に共通する評価~ 、 末梢神経障害を正しく評価するために③~正中神経麻痺~ 、 末梢神経障害を正しく評価するために④~尺骨神経麻痺~ を見ていただけたらと思います。本日もどうぞよろしくお願い致します。 <橈骨神経の解剖>  腕神経叢の後神経束から腋窩神経とともに起始し、C5~C8までの神経線維を含んでいる。腋窩神経と分かれた後、腋窩動脈の背側を末梢に向かって走る。次第に外側後方に向かい上腕骨の橈骨神経溝に沿って上腕骨後方から外側へと回る。肘部の前面で浅枝(知覚神経)と深枝(運動神経)に分かれる。深枝は回外筋を貫通し前腕の背側に至る。 ・高位麻痺:上腕部で損傷 ・低位麻痺:前腕で損傷 <代表的な疾患> ①外傷 上腕骨骨幹部骨折に合併して発症することが多い(特に上腕骨螺旋骨折によるもの)。また、骨折によるギプス固定や術後において、不良肢位を維持することで発症することがある。 症状:知覚異常、腕橈骨筋、長・短橈側手根伸筋、総指伸筋、小指伸筋、示指伸筋、長母指外転筋、長・短母指伸筋、尺側手根伸筋、回外筋の麻痺(主に前腕後面~手背の筋) ②後骨間神経麻痺 回外筋を通過するところで橈骨神経の深枝(運動神経)が絞扼を受け神経障害が発生する。ガングリオン、橈骨頭の脱臼などによる圧迫や神経炎で発症することが多い。橈骨神経支配領域に知覚障害がないこと、手関節背屈が可能なこと(この場合下垂指になる)で鑑別ができる。 症状:総指伸筋、小指伸筋、示指伸筋、長母指外転筋、長・短母指伸筋、尺側手根伸筋、回外筋の麻痺 ⇒橈側手根伸筋は麻痺を免れるため、手関節伸展の時に橈骨へ偏位しながら背屈を行う。 <橈骨神経麻痺の症状> ・高位型 低位型の障害に加えて、腕橈骨筋、長・短橈側手根伸筋の麻痺⇒下垂手(drop hand) 下垂手の場合、手関節掌屈位のまま手指操作を行うため、手指を強く屈曲することが難しい(握力の低下)。 母指~環指橈側手背の知覚障害 出典: 末梢神経損傷の治療  今日は、橈骨神経麻痺を評価する上で必要な知識と評価方法に...