こんにちは!
今日は前回の続きということで、9月6日(金)~8日(日)に福岡国際会議場で開催されました第53回日本作業療法学会のお話をしたいと考えています。
前回の内容は第53回日本作業療法学会へ参加してきました!その➀を見ていただければと思います。今日は二つ目のお話ということでシンポジウムとして開催された「発達性協調症(DCD)に対する作業療法」に参加した感想を話したいと思っています。長崎大学の岩永先生、札幌医科大学の仙石先生、ゴムQでおなじみ鴨下先生、むつみの家の東恩納先生というそうそうたるメンバーでのシンポジウムとなり、非常に楽しみにしていた企画の一つでした。
○まず簡単にDCDとは何なのか?の説明を致しますと・・・
・箸の開閉を上手くすることができない
・自転車に乗ることができない
・縄跳びをすることができない など
といった全身を協調させた動きや手先の細かな動きを行うことに苦手さがある疾患と言われています。DCDは子ども全体で5~6%の割合でみられるとされており、純粋な協調性の障害だけでなく、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)と併発することも多々見受けられます。
最近の研究ではLDやADHDとの併発だけでなく、脳性麻痺との関連性があると書かれている論文も多く、脳性麻痺と定型発達の中間に位置する障害と言われています。
僕自身、発達領域で仕事するようになってから詳しく勉強をしてきた疾患の一つです。実際の臨床では、不器用さをもった子どもは多く存在しているため、今後学校教育でもきちんと指導する必要がある疾患の一つだと感じています。
そしてここからが本題のDCDに対する作業療法に関する内容になります。今回のシンポジウムでは、DCDに対する作業療法として有効と示唆されるアプローチとして、
(1)CO-OP(Cognitive Orientation to daily Occupational Performance)理論
(2)NTT(神経運動課題訓練)
といった課題指向型に行うアプローチがあるとのお話がありました。
その中でもCO-OP理論については、どのように実践しているのかのお話もあったため、参考までに少し説明したいと思います。
まず、CO-OP理論の特徴として、これまで感覚統合療法(SI療法)といったボトムアップ的アプローチが一般的であったことに対して、CO-OP理論はトップダウン的アプローチであるということです。すなわち、対象児が獲得するべき・したい課題に対してトップダウン的アプローチをしていき獲得を目指すというものです。
岩永先生はこのシンポジウムで、ボトムアップ的アプローチに加えてトップダウンアプローチを行うことで、より効果的な治療効果を発揮するのではないかと話されていました。このCO-OP理論はまだ日本での研究は少なく、今後期待されているアプローチの一つになると考えられています。今回の学会でもいくつか研究発表がありました。
そして、CO-OP理論の特徴はというと・・・
➀対象児が選んだ活動の遂行を通じてスキルを獲得していく問題解決型アプローチ
➁認知戦略を使用しガイドされた発見を通じてスキル獲得を目指す方法
➂獲得したスキルと認知戦略を毎日の生活に般化・転移すること
が挙げられます。
僕が特に興味深く感じたところは「➂獲得したスキルと認知戦略を毎日の生活に般化・転移する」です。
この➂において例を挙げると・・・
<「縄跳びができるようになりたい。」との希望があった場合>
縄跳びができるようになるためにどうすれば良いかを対象児と一緒に考える
⇩
考えたことを元にプログラムを立案し実践する
⇩結果・・・
「縄跳びが跳べるようになった!」
そして重要なのはその後です。
「今度は後ろ跳びができるようになりたい。」
「今度は自転車が乗れるようになりたい」
⇨縄跳びが跳べるようになるまでに用いた認知戦略を次の課題でも使用し獲得を目指す。
といった感じで、獲得したスキルと認知戦略を元に、その他の活動や毎日の生活に般化することがこの理論の最大の特徴だと考えています。このCO-OP理論は、脳卒中で用いるCI療法に似ている点が多いように感じているところです。
僕自身、今回のシンポジウムをきっかけに、論文を調べながら実践しているところです。経過はというと、対象児の知的・言語レベルが平均値以上の場合には非常に有効なアプローチであると感じています。現在は、知的・言語レベル関係なく、どの児童に対しても有効に利用できる方法はないかを考えているところです。
来年は発達領域で研究発表しようと現在研究デザインを考えている最中です。そういえば、来年2月に開催される日本発達系作業療法学会が長崎県であることから、参加をしてみようと考えています。まだまだ勉強不足の点も多いため、学会参加を元に何かヒントを見つけることができたらなと考えています。
全2回にわたって話させていただいた学会の感想は以上になります。これまで話してきた内容以外でも、まだまだ話したりないことはありますがこの辺で終わりたいと思います。全国学会への参加は初めてであったため、とてもいい刺激をもらうことができました。これからは、自分が研究を発表していく立場になるという強い意志をもつことができた良い経験となりました。
では今日はこの辺で。
今日は前回の続きということで、9月6日(金)~8日(日)に福岡国際会議場で開催されました第53回日本作業療法学会のお話をしたいと考えています。
前回の内容は第53回日本作業療法学会へ参加してきました!その➀を見ていただければと思います。今日は二つ目のお話ということでシンポジウムとして開催された「発達性協調症(DCD)に対する作業療法」に参加した感想を話したいと思っています。長崎大学の岩永先生、札幌医科大学の仙石先生、ゴムQでおなじみ鴨下先生、むつみの家の東恩納先生というそうそうたるメンバーでのシンポジウムとなり、非常に楽しみにしていた企画の一つでした。
○まず簡単にDCDとは何なのか?の説明を致しますと・・・
・箸の開閉を上手くすることができない
・自転車に乗ることができない
・縄跳びをすることができない など
といった全身を協調させた動きや手先の細かな動きを行うことに苦手さがある疾患と言われています。DCDは子ども全体で5~6%の割合でみられるとされており、純粋な協調性の障害だけでなく、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)と併発することも多々見受けられます。
最近の研究ではLDやADHDとの併発だけでなく、脳性麻痺との関連性があると書かれている論文も多く、脳性麻痺と定型発達の中間に位置する障害と言われています。
僕自身、発達領域で仕事するようになってから詳しく勉強をしてきた疾患の一つです。実際の臨床では、不器用さをもった子どもは多く存在しているため、今後学校教育でもきちんと指導する必要がある疾患の一つだと感じています。
そしてここからが本題のDCDに対する作業療法に関する内容になります。今回のシンポジウムでは、DCDに対する作業療法として有効と示唆されるアプローチとして、
(1)CO-OP(Cognitive Orientation to daily Occupational Performance)理論
(2)NTT(神経運動課題訓練)
といった課題指向型に行うアプローチがあるとのお話がありました。
その中でもCO-OP理論については、どのように実践しているのかのお話もあったため、参考までに少し説明したいと思います。
まず、CO-OP理論の特徴として、これまで感覚統合療法(SI療法)といったボトムアップ的アプローチが一般的であったことに対して、CO-OP理論はトップダウン的アプローチであるということです。すなわち、対象児が獲得するべき・したい課題に対してトップダウン的アプローチをしていき獲得を目指すというものです。
岩永先生はこのシンポジウムで、ボトムアップ的アプローチに加えてトップダウンアプローチを行うことで、より効果的な治療効果を発揮するのではないかと話されていました。このCO-OP理論はまだ日本での研究は少なく、今後期待されているアプローチの一つになると考えられています。今回の学会でもいくつか研究発表がありました。
そして、CO-OP理論の特徴はというと・・・
➀対象児が選んだ活動の遂行を通じてスキルを獲得していく問題解決型アプローチ
➁認知戦略を使用しガイドされた発見を通じてスキル獲得を目指す方法
➂獲得したスキルと認知戦略を毎日の生活に般化・転移すること
が挙げられます。
僕が特に興味深く感じたところは「➂獲得したスキルと認知戦略を毎日の生活に般化・転移する」です。
この➂において例を挙げると・・・
<「縄跳びができるようになりたい。」との希望があった場合>
縄跳びができるようになるためにどうすれば良いかを対象児と一緒に考える
⇩
考えたことを元にプログラムを立案し実践する
⇩結果・・・
「縄跳びが跳べるようになった!」
そして重要なのはその後です。
「今度は後ろ跳びができるようになりたい。」
「今度は自転車が乗れるようになりたい」
⇨縄跳びが跳べるようになるまでに用いた認知戦略を次の課題でも使用し獲得を目指す。
といった感じで、獲得したスキルと認知戦略を元に、その他の活動や毎日の生活に般化することがこの理論の最大の特徴だと考えています。このCO-OP理論は、脳卒中で用いるCI療法に似ている点が多いように感じているところです。
僕自身、今回のシンポジウムをきっかけに、論文を調べながら実践しているところです。経過はというと、対象児の知的・言語レベルが平均値以上の場合には非常に有効なアプローチであると感じています。現在は、知的・言語レベル関係なく、どの児童に対しても有効に利用できる方法はないかを考えているところです。
来年は発達領域で研究発表しようと現在研究デザインを考えている最中です。そういえば、来年2月に開催される日本発達系作業療法学会が長崎県であることから、参加をしてみようと考えています。まだまだ勉強不足の点も多いため、学会参加を元に何かヒントを見つけることができたらなと考えています。
全2回にわたって話させていただいた学会の感想は以上になります。これまで話してきた内容以外でも、まだまだ話したりないことはありますがこの辺で終わりたいと思います。全国学会への参加は初めてであったため、とてもいい刺激をもらうことができました。これからは、自分が研究を発表していく立場になるという強い意志をもつことができた良い経験となりました。
では今日はこの辺で。
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