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9月, 2019の投稿を表示しています

第53回日本作業療法学会へ参加してきました!その➀

こんにちは!  今日は今年の9月6日(金)~8日(日)に福岡国際会議場で開催されました第53回日本作業療法学会へ参加をしたのでその感想や考えたことを話したいと思います。九州での開催であったため、距離的に参加しやすかったこともあり、このチャンスを逃すまいと参加させていただきました。  今回の学会で楽しみにしていた講演が2つあります。まず一つ目が、基調講演の一つである、吉藤健太朗先生の「~人はもう一つの身体を手に入れる~あらゆる人の社会参加を可能とする分身ロボットOriHimeの可能性」です。通称オリィ先生といえば、わかる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。  そして二つ目が、シンポジウムの一つである、「発達性協調症(DCD)に対する作業療法」です。長崎大学の岩永先生を座長とし、シンポジストとして札幌医科大学の仙石先生、株式会社児童発達支援協会代表取締役CEOの鴨下先生(ゴムQでおなじみですね)、みさかえの園総合発達医療福祉センターむつみの家の東恩納先生が講演をされました。発達障害領域で重鎮と呼ばれるような先生方のお話が聴けるということで、非常に楽しみにしていました。  そこで、今日は僕の中でメインとしていた2つの講演を聞いて感じたことを話したいと思います。まず、オリィ先生の講演ですが、不覚にも涙がとまりませんでした。この講演を聞くためだけでも学会に参加した価値があると感じるほどの講演内容でした。今の自分の無力さ、作業療法士として何ができるのか、作業療法士の在り方とは何なのかを強く考えさせられる講演だったと感じています。  初めてオリィ先生を知ったという方に向けて、どのような方なのかを簡単にお話したいと思います。まず、オリィ先生は「株式会社オリィ研究所」の代表取締役所長であり、分身ロボット「OriHime」の開発者であります。「OriHime」は、自分自身の分身であり、行きたい場所があるのに行けないを叶えることができるロボットです。「OriHime」を通じてコミュニケーションをとったり、会話をすることができ、まるで自分がその場所に居るかのような感覚を得ることができます。そして、デジタル透明文字盤である「OriHime eye」を用いれば、言葉が話せなくても視線入力にて自分の意思を示すことができるのです。この「OriHime」、「OriHime ...

作動記憶(作業記憶、ワーキングメモリ)のメカニズムとアプローチにおけるポイント

こんにちは!  今日は前回の続きではないのですが、作動記憶(作業記憶、ワーキングメモリ)のメカニズムとアプローチにおけるポイントについてお話したいと思います。 ○作動記憶とは?  「脳のメモ帳」と呼ばれる機能であり、一時的な情報の保持と処理を支える機構のことです。前頭葉の前頭連合野にある機能の一部といわれています。  例えば「電話をしながら内容を紙に写す」という行為のように、「○○をしながら○○をする」といった時に必要となる機能が作動記憶になります。  この作動記憶は短期記憶との関連性が高いといわれています。この短期記憶の容量について、無意味な言葉や数字を記憶する限界値を7±2とした「マジカルナンバー7」が有名ですね。現在は4±2とした「マジカルナンバー4」と呼ばれることが多いです。この短期記憶の容量を知っておくことは、作動記憶を理解しアプローチするためのキーワードになります。 ○作動記憶のモデル 出典: 前頭前野とワーキングメモリ  この上記図は、中央実行系に対して音韻ループと視空間スケッチパッドとエピソードバッファの3つのサブシステムが協調しながら働くことを意味するモデルになります。次にそれぞれの役割についてお話していきます。 ・音韻ループ  音声言語的な短期記憶を担う。言語性の作動記憶と対応している。 ・視空間性スケッチパッド  視覚・空間的な情報の短期記憶を担う。空間性の作動記憶と対応している。 ・エピソードバッファ  エピソードや知識といった長期記憶を音韻ループと視空間性スケッチパッドに仲介させる機能を担う。また、音韻ループと視空間性スケッチパッドを調整する役割をもっている。   ○作動記憶からのアプローチの視点  作動記憶は、僕たちが生活する上でいつも働いている機能といってもよいでしょう。例えば歩きながら何か考え事をするだけでも働いているのですから。高齢者で歩行することがやっとの方であれば、ただ歩行するだけで作動記憶を賦活させることができる、といった文献もあるくらいです。  作業療法士であれば「どうすれば作動記憶を活性化することができるのか?」と考えることもあると思います。この時に注意していただきたいことが、その課題が脳に対する過負荷になっていないかということです。課題を設定する適切な難易...

前頭葉の機能~前頭連合野に着目して~

こんにちは!  最近の僕はというと、久しぶりの連休だったのですが、体調を崩してしまいやりたいことを何もできずに過ごしてしまうという何とも言えない休日でした。僕は気温の変化に弱く、月に1回くらいの頻度で風邪を引いてしまうのですが、ここ最近は絶好調な期間が長かったもので、やはり体調を崩すということは生活全体のパフォーマンスを低下させてしまうものだと痛感させられています。  僕の話はこの辺にして、今日はここ1か月勉強をしていた前頭葉の機能についてお話したいと考えています。以前、「失語についてあまり詳しく知らないなー」と思っていた時に、近くで失語の勉強会があると知り、参加をさせていただいたのですが、目から鱗のお話ばかりでとても感銘を受けました。その延長上で、前頭葉についてもうちょっと勉強しようと思い、いろんな文献をあさって勉強をしてきたので、今日はその内容の一部をご紹介しようと思っています。「前頭葉って難しい」と思われている方はおそらく、前頭連合野の機能なのではないかなと思うので、この辺の話を中心にしていきたいと思います。 出典: 前頭葉損傷による高次脳機能障害のみかた まずは前頭葉の解剖に関する図を上記に記載していますので、図と照らし合わせながら進めていただければと思います。 前頭連合野を更に細かく分類すると・・・ ➀前頭葉背外側➁眼窩皮質➂帯状皮質に分けられます。そこで、これらを損傷するとどのような障害が出現するのかを説明していきます。 ➀前頭葉背外側 【遂行機能障害】 ・「目的に敵った行動の計画障害」「目的に敵った行動の実行障害」とされている高次脳機能障害になります。 ・神経心理ピラミッドでより上位に位置づけられる機能で、記憶、注意などの機能と複合的に関与しています。 ・例えば「お湯を沸かして急須に入れコップに注ぐ」という行為でみれば、<水をやかんに入れる→コンロに火をつける→湧いたら急須に入れる→2~3分後にコップに入れる>というような順序を計画し実行する必要があります。記憶や注意機能が保たれているにも関わらず、「次に何をすれば良いか」がわからなくなる、といったものが遂行機能障害にあてはまります。 【転換障害】 ・注意機能の中でも「転換性」と呼ばれている機能があります。簡単に説明すると、注意を向けているものから、別のもの...

対象者の能動性を引き出す関わり方・向き合い方とは

こんにちは!  更新が遅くなってしまい申し訳ありません。また今月から更新していきたいと思っていますのでどうぞよろしくお願いします。  今週は、いよいよ今回で53回目となります日本作業療法学会が福岡で開催されます。僕は熊本在住ということもあり、3日間すべて参加をする予定です。ですので、今は当日どのように立ち回るのかを決めているところです。全国学会への参加は初めてになるのでとても楽しみにしています。  最近の僕はといいますと、研修会での発表内容を作成したり、症例検討を職場内・外で行ったりとあるため、仕事以外の時間は家で作業をしていることが多いです。症例検討に関しては2ヶ月に1回の頻度で発表があるという、なんともバタバタした日々を過ごしています。というのも、昨年度終了時に、新人ばかりが発表するのではなく、中堅クラスも発表する必要があるのではないかと提案したのがきっかけなので、しかたないかなと思っています。外部での発表も多いため、今年度はなかなか頑張れているのではないかなと思っています。直近で4つ発表が控えているので、ぼーっとしている暇がありません。ここを乗り越えたら、また一つ壁を超えることができるかなと思っています。  僕の近況話はこの辺にして、ここから今日の本題に入っていきます。今日のテーマは「対象者の能動性を引き出す関わり方・向き合い方とは」です。最近、職場で診療を行うにあたり、いかに能動性を引き出す関わりが重要かを感じることがあったため、今日の内容とさせていただきました。  みなさんは、「コミュニケーション」という言葉を聞いた時にどのようなことを考えますか。他のスタッフといろんなお話をしていく中で、「コミュニケーション」はその人のひととなりや、向き合う意識で変わってくるとしか考えていない方が多いなあと感じています。しかし、この「コミュニケーション」は触診や筋膜リリースといった各種技術と同じような枠組みに捉えることができる技術の一つだと考えています。技術ということは勉強を行うことで身につけることができます。ということは、「コミュニケーション」に関しても勉強をしなければ身につくことはない、自然に身につくものではないと考えています。  対象者との関わり方ひとつで診療の結果は大きく左右されるものです。みなさんがもし入院したとして、担当となるセラピス...