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大腿骨頸部骨折の基礎知識➀~分類・手術編~

こんにちは!

 大腿骨頸部骨折といえば高齢者の四大骨折の一つとして、臨床でよくお見かけする骨折かと思われます。高齢者での主な要因は転倒による骨折ですね。そこで大腿骨頸部骨折に焦点を当てて①分類・手術➁リハビリテーション➂生活指導と3回に分けてお話ししようと思います。

 以前は大腿骨頸部骨折を内側骨折と外側骨折と分けて分類することが多かったのですが、現在は内側骨折を大腿骨頸部骨折、外側骨折を大腿骨転子部(転子間、転子下)と分類することが多くなっています。言葉の使い方として少しややこしくなっていますがこのように覚えていただければ良いと思います。


 大腿骨頸部骨折の分類として一般的に知られているgarden分類について紹介します。

出典:大腿骨頸部骨折のリハビリテーション

StageⅠ:不完全骨折(骨製連続の残存)
StageⅡ:完全骨折(転位なし、軟部組織の連続性は残存)
StageⅢ:完全骨折(Waitbrecht支帯の残存)
StageⅣ:完全骨折(完全に転位、骨頭への血行は途絶)
※Waitbrecht支帯:骨頭と頸部を結ぶ軟部組織

 これらの分類が一般的ではありますが、現在はStageⅠ、Ⅱを非転位型、Ⅲ、Ⅳを転位型として2つに分類することが多いです。


 次に大腿骨頸部骨折に対する手術の適応についてご紹介します。
<非転位型>
StageⅠ:CHS法、CHS+CCS法、ハンソンピン
StageⅡ:CHS法、CHS+CCS法、ハンソンピン
<転位型>
StageⅢ:人工骨頭置換術
StageⅣ:人工骨頭置換術

CHS法、CHS+CCS法:骨接合術の術式の一つ。手術侵襲が少なく、手術後の骨折部の安定性も比較的高いとされている。X-P所見や疼痛の有無を確認しながら、cutout(骨接合術後にscrewが骨頭から飛び出てしまうこと)に留意してリハビリテーションを進めていく。

出典:大腿骨頸部骨折のリハビリテーション

ハンソンピン:骨接合術の術式の一つ。皮切が少なく出血量も少ない。手術時間が短く手術後の疼痛が少ないのが特徴の術式。比較的若年層の骨折に実施されることが多い。CHS法と同じくcutoutに留意する必要がある。ピンのみの固定であるため、骨折部の安定性を確認しながら荷重や歩行を進めていく。

出典:大腿骨頸部骨折のリハビリテーション

人工骨頭置換術:大腿骨頭を切除して金属あるいはセラミックでできた骨頭で置換する手術。大腿骨頸部骨折だけでなく、何らかの要因により大腿骨頭が壊死を起こした場合も適応になる。主に後方からのアプローチと前方からのアプローチ(前側方アプローチもあります)に分けられ、それぞれ脱臼リスク(第3回でお話しします)があるため生活指導を含めてリハビリテーションを進めていく。

出典:大腿骨頸部骨折のリハビリテーション


 以上が大腿骨頸部骨折における手術適応とその特徴になります。分類と手術の適応は必ず上記に当てはまるわけではなく、年齢や骨密度、併存疾患などの要素も含めて手術の適応になるため、StageⅢでもハンソンピンを用いたりといったこともよくあります。

 大腿骨頸部骨折の場合、内側大腿回旋動脈が大腿骨頭と骨頸部の血流を供給していることから、骨折により大腿骨頭に十分に血流を確保することができずに無腐性壊死に陥るリスクがあります。そのため、StageⅢやⅣでは人工骨頭置換術を用いることが多いのです。

 今日は大腿骨頸部骨折における分類と術式についてお話させていただきました。リハビリテーションを行うにあたって、骨折部の安定性や術後の経過の確認はとても大切なことですので、必ずX-P所見を確認しながらリハビリテーションを進めていくとより良いアプローチができると考えています。

 では今日はこの辺で。

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