こんにちは!
本日のテーマは「筋力低下に対するアプローチを免疫学的視点で考える」です。筋力をつけるとは言うものの、ただ筋トレをすれば良いわけではありません。僕が他の療法士の皆さんとお話しする中で負荷量の設定は考えながら行なっていても、栄養面や免疫系の働きなどまで考えながら行なっている方はそう多くはありません。皆さんはどうですか?
栄養面は最近の流行りではあるので考えている方も多いかもしれません。なので、今回は「免疫系」に焦点をあててお話をしていこうと思います。
まず皆さんご存知かもしれませんが、運動を行う効果として、
などが挙げられます。上記の通り、運動と健康は密接な関係にあることがわかりますね。
そして、この効果の背景に「ミオカイン」と呼ばれる物質があります。このミオカインとは、骨格筋由来のサイトカイン(細胞から分泌される蛋白質)のことで、筋肉の肥大や再生を行います。しかし、ミオカインの効果は筋肉だけでなく、脳や血管など多くの組織に効果をもたらすことがわかってきました。
運動により認知症や生活習慣病の予防ができるという背景には、このような生理作用が関係するのです。
ここで高齢者の筋力低下について考えてみましょう。
筋力低下は萎縮とともにtypeⅠ(いわゆる遅筋)からtypeⅡ(いわゆる速筋)への変換を行なっていきます。すなわち、typeⅠはミトコンドリアと毛細血管を多く含むことから、減少することでミトコンドリアと毛細血管の数の減少につながっていくのです。
加えて、廃用による筋力低下では、炎症性サイトカインの活性化により慢性的な炎症状態になっていきます。
これらのことから、ただ筋力をつけるだけでは最大筋力の向上につながったとしても、ミトコンドリアと毛細血管の数は大して増えることはないのです。
ではどのようなアプローチが必要なのか。
それは、「①筋力増強を目的とした運動と並行して②有酸素運動を行う」です。
①では筋繊維の増大とミオカインの分泌を促します。ミオカインは抗炎症性サイトカインの一つでもあるため、炎症性サイトカインの抑制にも働きます。これに加えて、②を行うことでミトコンドリアと毛細血管の数を増やし、筋繊維タイプをtypeⅡからtypeⅠへと変換を促します。いわゆる廃用前の筋バランスへと変換していくのです。
このように有酸素運動を並行して行うことで、筋力アップだけでなく、より効果的な筋肉の機能回復につながっていきます。また、運動によりミオカインを増加させ、炎症の抑制にも効果をもたらすのです。
今回は免疫学的な視点から筋力低下について考えてみました。今回初めて筋力と免疫系の関係性について触れた方は是非日々の診療に活かしてみて下さいね。
また、近いうちに筋力増強の基本である1RMや等張性と等尺性の考え方についてもお話ししようかと思っています。
では今日はこの辺で。
本日のテーマは「筋力低下に対するアプローチを免疫学的視点で考える」です。筋力をつけるとは言うものの、ただ筋トレをすれば良いわけではありません。僕が他の療法士の皆さんとお話しする中で負荷量の設定は考えながら行なっていても、栄養面や免疫系の働きなどまで考えながら行なっている方はそう多くはありません。皆さんはどうですか?
栄養面は最近の流行りではあるので考えている方も多いかもしれません。なので、今回は「免疫系」に焦点をあててお話をしていこうと思います。
まず皆さんご存知かもしれませんが、運動を行う効果として、
出典:運動による健康増進の科学最前線 |
などが挙げられます。上記の通り、運動と健康は密接な関係にあることがわかりますね。
そして、この効果の背景に「ミオカイン」と呼ばれる物質があります。このミオカインとは、骨格筋由来のサイトカイン(細胞から分泌される蛋白質)のことで、筋肉の肥大や再生を行います。しかし、ミオカインの効果は筋肉だけでなく、脳や血管など多くの組織に効果をもたらすことがわかってきました。
運動により認知症や生活習慣病の予防ができるという背景には、このような生理作用が関係するのです。
ここで高齢者の筋力低下について考えてみましょう。
筋力低下は萎縮とともにtypeⅠ(いわゆる遅筋)からtypeⅡ(いわゆる速筋)への変換を行なっていきます。すなわち、typeⅠはミトコンドリアと毛細血管を多く含むことから、減少することでミトコンドリアと毛細血管の数の減少につながっていくのです。
加えて、廃用による筋力低下では、炎症性サイトカインの活性化により慢性的な炎症状態になっていきます。
これらのことから、ただ筋力をつけるだけでは最大筋力の向上につながったとしても、ミトコンドリアと毛細血管の数は大して増えることはないのです。
ではどのようなアプローチが必要なのか。
それは、「①筋力増強を目的とした運動と並行して②有酸素運動を行う」です。
①では筋繊維の増大とミオカインの分泌を促します。ミオカインは抗炎症性サイトカインの一つでもあるため、炎症性サイトカインの抑制にも働きます。これに加えて、②を行うことでミトコンドリアと毛細血管の数を増やし、筋繊維タイプをtypeⅡからtypeⅠへと変換を促します。いわゆる廃用前の筋バランスへと変換していくのです。
このように有酸素運動を並行して行うことで、筋力アップだけでなく、より効果的な筋肉の機能回復につながっていきます。また、運動によりミオカインを増加させ、炎症の抑制にも効果をもたらすのです。
今回は免疫学的な視点から筋力低下について考えてみました。今回初めて筋力と免疫系の関係性について触れた方は是非日々の診療に活かしてみて下さいね。
また、近いうちに筋力増強の基本である1RMや等張性と等尺性の考え方についてもお話ししようかと思っています。
では今日はこの辺で。
コメント
コメントを投稿