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7月, 2020の投稿を表示しています

失語症を理解するために②~失語症タイプの分類~

こんにちは。  今日は前回の続きということで、失語症を理解するために②~失語症タイプの分類~についてお話させていただきたいと思います。前回の内容は を読まれてみてください。前回は、言語の処理過程と処理過程に関連する領域や症状の分類についてお話させていただきました。そこで、今回は失語症タイプの分類を、症状と関連させてお話していきます。 <失語症タイプの分類> 出典: 失語のみかた:よりよい治療・リハビリテーションのために 語のシステム:失構音、音韻性錯語、語音弁別障害 音のシステム:単語理解障害、喚語障害 出典: 失語のみかた:よりよい治療・リハビリテーションのために 【伝導失語】 症状:音韻性錯語(失構音のない) 容認項目:語音弁別障害 【ウェルニッケ失語】 症状:単語理解障害、喚語障害、音韻性錯語 容認項目:語音弁別障害 出典: 失語のみかた:よりよい治療・リハビリテーションのために 【ブローカ失語】アナルトリー、喚語障害、失構音 【純粋語唖】 出典: 失語のみかた:よりよい治療・リハビリテーションのために 【超皮質性運動失語】 領域:補足運動野、左下~中前頭回(前頭葉背外側領域) 症状:喚語障害 容認項目:失構音、音韻性錯語、単語理解障害、語音弁別障害 ★超皮質性運動失語には大まかに2つのタイプがあり、①ブローカ失語からの部分回復タイプ②構音開始時の困難さを示すタイプに分けられる。 復唱が良好で、自発話が減少(超皮質性感覚失語では見られない場合が多い)する場合、超皮質性運動失語と呼ばれることが多い。 【超皮質性感覚失語】 症状:単語理解障害、喚語障害 容認項目:語音弁別障害 【健忘失語】 領域:下前頭回、側頭~後頭葉、角回 症状:喚語障害 【ブローカ領域失語】 領域:ブローカ野(ブローカ野=文理解) 症状:喚語困難+文理解障害 ということで、今回は失語症の分類についてお話させていただきました。明確な基準がない場合が多いため、病巣を基にどのような症状が出現するのかを推測することがより重要で、無理やりタイプに当てはめようとするとうまくいかない場合があります。失語症のタイプはあくまで参考までにしていただき、どのような症状が出現しているのかを意識して、臨床での評価・治療に取り組んでいただければと思います。 では今日はこの辺で。

失語症を理解するために①~言語処理過程と症状の分類~

こんにちは。  連日、水害のニュースが相次ぎ心を痛める思いで日々過ごしています。皆様もどうかご無事でありますよう心から願っています。少しでも穏やかに過ごせる日が来ますよう祈っています。  今日は「失語症を理解するために」というテーマでお話しようと考えています。「失語といえばSTだ!」と思われる方もいるかもしれませんが、作業療法士としても失語を理解することはとても重要だと思っています。作業療法士の養成校では、ブローカ失語とウェルニッケ失語とは何か?程度にしか学ぶことが少ないかと思われますが、実際はより複雑で理解することが難しいものだと考えています。私も臨床で「どのような分類があり、アプローチが効果的なのか?」を知りたく、北海道大学の大槻先生の講義にて失語について学んだ過去があります。失語を理解し、作業療法の中にも、治療要素を組み込むことができると思いますので、まずは失語の分類や画像の見方についてのお話をしていきたいと考えています。 <言語処理の過程> 出典: 失語のみかた:よりよい治療・リハビリテーションのために  この図は、言語の処理過程とその障害により生じる症候、および、その言語の処理過程に関与する脳部位を示したものです。 情報の出入り口(モダリティとして音を用いる)⇒聴覚処理・構音実現 言語情報の出入り口(モダリティとして音を用いる)⇒音声処理・構音制御 音韻の処理(モダリティフリー)⇒音韻処理 語の処理(モダリティフリー)⇒語彙処理・意味処理  音韻の処理と語の処理(語彙処理・意味処理)は、モダリティがフリーであるため聴覚入力だけでなく視覚入力でも同じような処理過程を辿ります。 <失語症症状の分類> 【失構音(発語失行、アナルトリー)】 症状:構音の歪み・音の連結不良・抑揚異常を認める。   構音の誤り方に二重の非一貫性がある。   ①ある音素を構音しようとするとある時は誤り、ある時は正しく構音する   ⇒whenの非一貫性   ②誤る場合にその誤り方が一定ではなく、色々な誤り方をする   ⇒howの非一貫性 領域:左中心前回中~下部(下端以外)   ブロードマン4野中心の病巣:構音の歪み中心   ブロードマン4野+6野の病巣:構音の歪み+音の連結不良 ★失構音と構音障害の違い 失構音:音実現のプログラム・指令の問題 構音障害:音実現の実行器官の問題 【音韻性...