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4月, 2020の投稿を表示しています

末梢神経障害を正しく評価するために②~末梢神経障害に共通する評価~

こんにちは!  今日は末梢神経障害に必要な評価のお話をしたいと思います。前回の内容に関しましては、 末梢神経障害を正しく評価するために①~末梢神経障害の基礎知識~ を見ていただけたらと思います。代表的な末梢神経障害の原因となる疾患として、手根管症候群やギオン菅症候群などがありますね。今回は、これらの疾患に共通する評価について説明していきたいと思います。  まず、最初にお話しするのは「問診」についてです。「問診」は、初回介入時に行う最初の評価であり、かつ、様々な評価の中で一番重要であると考えている項目になります。この「問診」を曖昧にしていると、いくら整形外科テストやクリニカルテストを行っても、その症状が改善するのか?症状の原因は何なのか?を理解することが難しく、そもそも臨床推論(クリニカルリーズニング)になりません。まだ、経験が少ないセラピストはあまりピンとこないかもしれませんが、この「問診」こそが、今後診療を行う上でも土台になると考えています。  「問診」のポイントとしては、①いつ頃からしびれや疼痛がみられているのか?①どういった時に痛みが生じるのか?③痛みの程度はどのようなものか?といったことが基本的なことになります。また、放散痛があるか?や痛みの変化についても問診する必要があります。  僕はこれらの問診に加えて、対象者のナラティブスロープを作成したり、短期目標と長期目標を一緒に設定することを重要視しています。疾患を理解するための問診と対象者の生活を理解するための問診をミックスすることで、より包括的なアプローチにつながってくると考えています。  次に感覚テストとして「S-WTest(Semmes-Weinstein Monofilaments)」を行うことが重要になります。脳卒中の方には、筆やピンなどを用いた簡便な感覚テストをすることでおおまかな感覚障害の病態について理解することができるのですが、末梢神経障害であれば、神経分枝のどの部分の障害なのかを理解する必要があるため、髄節のレベルや障害を受けているであろう部位を正確に把握することが重要になります。そのため、「S-WTest」を行い、障害の程度をマッピングする必要があるのです。  障害部位の認識を行う上で必要になる評価は、「TinelSign」をよく用いています。「TinelSign」は神経が再生しているのかを...

末梢神経障害を正しく評価するために①~末梢神経障害の基礎知識~

こんにちは。  新年度1回目の投稿になります。今年度もどうぞよろしくお願い致します。今年度から新社会人として臨床に従事された皆様、ともに同じ業界の人間として一緒に盛り上げていければと思います。まずは目の前にあることに真摯に向き合うこと。そして、どのようなセラピストになりたいのかを自分なりに考えること。それぞれ、目標は違えどビジョンをもって励んでいただければと思います。  今日から5回に分けて「末梢神経障害を正しく評価するために」といったテーマでお話を展開できればと考えています。私自身、整形外科病院で働いた経験がなく、ハンドセラピィを中心に治療展開している方から見ると、まだまだ勉強不足の点があるかと思いますがどうぞよろしくお願い致します。  まず第1回目となる今日は、そもそも末梢神経障害とは何なのか?についてお話したいと思います。 <末梢神経とは?>  脊髄神経が脊髄硬膜を出た部位より遠位の神経線維の総称。 <末梢神経の構造> 出典: 末梢神経損傷の治療 軸索は神経細胞の突起のことであり、数千本の軸索が神経周膜に包まれて神経束を形成する。数本の神経束を神経上膜が囲み末梢神経を構成している。 <末梢神経障害の定義>  末梢神経が何らかの直接的・間接的原因により可逆的・不可逆的な障害を被るもの。 <損傷の病態による分類(Seddonの分類を基に)> 出典: 末梢神経損傷の治療 Neurapraxia(一過性伝導障害)  機能的に伝導性が遮断されている状態。麻痺している筋は損傷部からの距離と無関係にほぼ同時に回復する。回復に要する時間は数分から数週間、通常12週間以内に自然回復する。損傷部位では伝導障害を認める。 Axonotmesis(軸索断裂)  神経軸索のみが断裂している状態。シュワン管および神経周膜の連続性は保たれている。麻痺している筋は神経の分枝高位に従って順次回復していく。通常は自然回復が期待できる。 Neurotmesis(神経断裂)  神経幹・神経束の連続性が絶たれている状態。切断部位より末梢の軸索はWaller変性に陥る。中枢側の端も逆行性変性が数髄節に生じる。再生軸索は損傷部で元来とは異なったシュワン管に入り、伸長し、間違った終末目的器官に到達する可能性があり、予後は必ずしも良好ではない。再生知覚神経が元来運動神経のシュワン管に入れば筋の回復は生じない。...