こんにちは! 今日は作業療法士に必要な臨床推論の考え方についてお話したいと思います。小児分野のお話が続いたため、ややいきなり感はあるのですが、特に新人~3年目以内のスタッフに読んでいただきたい内容になると思っています。臨床推論、いわゆるクリニカルリーズニングについてお話したいと思っているのですが、それぞれの考え方があるため、僕の考え方も一考え方と思っていただけると幸いです。 臨床推論を行うために何が必要か?というとまずはクライエントを評価するにあたって必要な知識・技術があることが前提になります。また、人によっては経験が重要と言われる方もいらっしゃいますが、僕はそこまで重要なポイントではないと思っています。なぜなら経験に頼りすぎて基本的な知識・技術や現代医療の考え方・エビデンスを知らない・忘れているセラピストを多くお見かけするからです。経験も正しく使えば強力な武器になるのですが、僕自身が経験に頼りすぎないようにしているため、重要なポイントからは外して考えています。 そしてここが作業療法士が行う臨床推論の一番のポイントになるかもしれません。それは「ナラティブ的思考」をもつことです。ナラティブとは「自分自身によって語られる物語」のことです。これが臨床推論とどのような関わりがあるの?と思われる方がいらっしゃると思うので少し説明をしたいと思います。 作業療法士はクライエントの生活を支援する専門職です。そのため、例えば「買い物に行きたい」というデマンドをとっても、クライエントにとって「どのような手段か?」「どこまで行く必要があるのか?」「何のために買い物をするのか?」などといった目的や意義が変わってくるものです。また、「なぜそのような行為をしたいのか?」「その行為にどのような意味があるのか?」などのように、同じように見える生活行為もクライエントにとって、全く違う意味をもつ生活行為になります。 そのため、作業療法士はまずクライエントがどのような人物なのか、どのような生活を送ってきたのかを聞き取ったり感じとる必要があります。これが「ナラティブ的思考」のポイントになります。 そして、どのような人物でどのような生活を送りたいのかが分かったらアプローチに汎化させていきます。ここで臨床推論とつながってくるのです。クライエントの生活背景を理解し今後の支援...
ステップアップリハ研究所主宰、作業療法士。臨床における知識や技術、子育てや健康に関する情報を中心に発信します。