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10月, 2019の投稿を表示しています

療育と医療の違いって何?

こんにちは!  以前自己紹介の時にもお話していたと思いますが、僕は病院内で回復期病棟での診療に加えて、小児リハビリテーションや療育機関への支援を行っています。小児領域に関しては、まだまだ力不足を感じることが多いのですが、将来的に作業療法士として、小児領域で深く携わっていきたいという気持ちがあります。ブログを開始して半年くらい時間が経ったのですが、今日から少しずつ小児領域に関する内容も話していきたいと考えていますのでよろしくお願い致します。  まず最初に僕が行っている小児リハビリテーションに関してですが、主に自閉症スペクトラム(ASD)や発達性協調運動障害(DCD)の児童を担当しています。また、療育支援では、児童発達支援センターで3~4人グループに対して、活動の目的や取り組みに対するフィードバックを保護者の方に説明したり、実際の活動で児童に関わったりしています。  まず最初は、保護者の方からよく聞かれることから話していきたいと思っています。記念すべき1記事目のテーマは「療育と医療の違いって何?」です。保健所や保育園の先生方から、紹介をされて行ってみたはいいものの、療育と何が違うのということを聞かれることが多々ありますので、今日のお話が何か参考になれば幸いかと思っています。  まず「療育とは何か?」についてですが、療育について話す上で欠かせない、<療育の父>でおなじみ高木先生のお言葉を引用させていただきたいと思います。 「療育の定義」東京帝国大学 第2代教授 高木憲次先生 「療育とは、現代の科学を総動員して不自由な肢体を出来るだけ克服し、それによって幸にも恢復したら『肢体の復活能力』そのものを(残存能力ではない)出来る丈有効に活用させ、以て自活の途の立つように育成することである。」 昭和26年1月1日 療育〈第1巻第1号〉療育の基本理念 1.療育の定義から抜粋  この定義は療育で関わるスタッフなら知っている・聞いたことがあるという有名な定義になります。今の療育の礎を築き上げた高木先生の有名なお言葉です。 内容を少しかみ砕いて僕の解釈で話すと、 <「生きる」というだけでなく、「その児がその児らしく生きる」ことができるように育成することを目指す> ことだと考えています。  そして昨今、療育施設は日本中に拡大しており、さまざまな特色を...

第53回日本作業療法学会へ参加してきました!その➁

こんにちは!  今日は前回の続きということで、9月6日(金)~8日(日)に福岡国際会議場で開催されました第53回日本作業療法学会のお話をしたいと考えています。  前回の内容は 第53回日本作業療法学会へ参加してきました!その➀ を見ていただければと思います。今日は二つ目のお話ということでシンポジウムとして開催された「発達性協調症(DCD)に対する作業療法」に参加した感想を話したいと思っています。長崎大学の岩永先生、札幌医科大学の仙石先生、ゴムQでおなじみ鴨下先生、むつみの家の東恩納先生というそうそうたるメンバーでのシンポジウムとなり、非常に楽しみにしていた企画の一つでした。 ○まず簡単にDCDとは何なのか?の説明を致しますと・・・ ・箸の開閉を上手くすることができない ・自転車に乗ることができない ・縄跳びをすることができない など といった全身を協調させた動きや手先の細かな動きを行うことに苦手さがある疾患と言われています。DCDは子ども全体で5~6%の割合でみられるとされており、純粋な協調性の障害だけでなく、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)と併発することも多々見受けられます。  最近の研究ではLDやADHDとの併発だけでなく、脳性麻痺との関連性があると書かれている論文も多く、脳性麻痺と定型発達の中間に位置する障害と言われています。  僕自身、発達領域で仕事するようになってから詳しく勉強をしてきた疾患の一つです。実際の臨床では、不器用さをもった子どもは多く存在しているため、今後学校教育でもきちんと指導する必要がある疾患の一つだと感じています。  そしてここからが本題のDCDに対する作業療法に関する内容になります。今回のシンポジウムでは、DCDに対する作業療法として有効と示唆されるアプローチとして、 (1)CO-OP(Cognitive Orientation to daily Occupational Performance)理論 (2)NTT(神経運動課題訓練) といった課題指向型に行うアプローチがあるとのお話がありました。  その中でもCO-OP理論については、どのように実践しているのかのお話もあったため、参考までに少し説明したいと思います。  まず、CO-OP理論の特徴として、これまで感覚統合療法(SI...